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地質調査業について

地質調査業の仕事などをご紹介します

地質調査業の仕事

集める

実際の地質調査を始める前に、調査地域周辺の地形図、地質図、地盤図、空中写真等の地図・写真類及び調査報告書、工事記録、災害記録、地質文献などの既存の資料を集め、広域的・総合的な地盤状況を把握し、調査の効率的な実施と解析・判定を行う際の参考資料とします。

歩く

実際の地質調査の第一歩は、文字どおり歩くことです。調査地域の地質・土質・地盤等の概要を把握するため、知識と経験のある専門の技術者が、クリノメーターやハンマーを持ち、地形、露頭、転石などを観察・計測し、ルートマップを作り、最終的には当該調査地域の地質図を作成します。

探る

物理探査と呼ばれる弾性波探査や電気探査などの手法で、地震波や非抵抗を利用して、地表面から地下の地質構造を探る。最近では、電磁波、音波などを利用した探査法も多用されるようになり、また、非破壊で調査できることから、遺跡などの調査にも応用されるようになっています。さらにこの物理探査的手法の応用技術として、地下の物性値の分布を2次元断面像に画像化する「ジオトモグラフィー」と呼ばれる手法が実用段階に入っています。

掘る

地質調査は、主として地中の不可視部分を対象としています。このため、最も直接的で有力的な調査方法はボーリングです。これは、実際に地盤を掘る作業であり、地中の情報をダイレクトに入手でき、土質試料や岩盤のコアとして観察する他、それを用いて土質試験や岩石試験を行うことができます。
また、ボーリング孔は、孔内水平載荷試験や現場透水試験等の孔内計測や物理検層にも利用されます。

測る

地質調査では、原位置において各種の計測機器を用い、地盤の物理的・力学的な性質を測ります。この原位置試験には、ボーリング孔を利用した試験・計測、サウンディング、その他の試験・計測があり、調査目的により適宜組み合わせて実施されます。
また、地質調査には、現地で採取した試料を、試験室に持ち込み、土質試験・岩石試験を行い、その性質を明らかにする仕事があります。

整える

既存試料の検討・現地での調査・計測、室内試験が終了すると、これらの調査結果を整理し、個々のデータの評価や整合性の検討を行います。その結果に基づき、土質・地質柱状図や土質・地質断面図等の図面類を作成します。

解く

すべてのデータが整理・分析された後、調査目的に応じた解析・判定を行います。その主な内容は、地層及び土性の判定、土質及び地盤定数の決定、対象構造物に対する調査結果の検討、設計・施工に対する助言などで、必要によっては、より高次の解析が行われます。

報らせる

解析・判定等の業務が終了すると、報告書を作成します。これは発注者への成果品となるもので、いわば地質調査業の商品である。その内容は発注者の望む技術的情報が的確に、分かり易く表現される必要があります。

地質調査業の定義と範囲

地質調査は次のように定義される。

地質,土質,基礎地盤,地下水など地下の不可視部分について,地質学,地球物理学,土質工学などの知識や理論をベースに,地表地質踏査,物理探査,ボーリング,各種計測・試験などの手法を用いて,その「形」,「質」,「量」を明らかにする。

これを目的別に分類すると次のように区分される。

学術的分野

地球科学の一分野として,その生成過程の地質学的解明や地震予知及び地球環境を含む主に純粋な学術的探求のための地質調査で,通商産業省工業技術院地質調査所,国や大学などの研究機関から発注される。
また,この分野の将来構想としてJUDGE計画(Japanese Ultradeep Drilling and Geoscientific Experiments Project)がある。これは,地球科学分野の研究者等により構想されている日本の超震度科学掘削技術を含めた全く新しい技術システムが必要だとされている。
さらに,平成7年度以降,阪神・淡路大震災を契機に関心が高まっている活断層の調査が急増している。

資源開発分野

石炭,石油,鉱物資源,地熱など地下資源開発のための地質調査で,現在日本では,地熱発電のための調査を除いて細々と実施されている状態である。
しかしながら,戦前から昭和30年代前半くらいまでは,地質調査の主流はこの資源開発のためのものであり,建設事業分野に利用されているボーリング等の技術は,この分野で培われてきた者である。

建設事業分野

国土の開発や保全を目的とする建設事業のための地質調査である。現在日本では,地質調査事業量の9割以上が,この分野で占められている。この建設事業に係わる地質調査は,戦前もトンネルやダムを中心に実施されていたが,その需要が急激に拡大し,民間企業にも発注されるようになったのは,昭和30年前後以降である。その背景には,電源開発,高速自動車道,新幹線や公共住宅等の大規模な社会資本整備事業の進展と重化学工学を中心とした民間設備投資の増大があった。そしてもう一方に,土質工学や土木地質学など地質調査技術を支える学問領域に等しい進歩があったことも無視できない。
建設事業における地質調査は,企画立案から維持管理の各段階で実施されるが,基本的には次の流れの中で実施される。そして,それぞれの段階に,それを担う産業があるが,建設省ではこのうち,測量業,地質調査業,建設コンサルタント(土木設計業)の3種類を「建設関連業」として共通の土俵で行政指導を行っている。

産業分類・法的基盤

地質調査業の法的基盤

地質調査業はその成立の早い時期から、独自の業務領域を持つこと、設計や施工段階の前に実施されること等の理由により、他の業務とは分離発注され、独立した業としての地位を得ていた。しかし、産業としての法令な基盤は明確でなく、地質調査の発注にあたっての区分や分類もマチマチであった。
このような状況の中、昭和52年に至り、漸く建設省告示として「地質調査業登録規程」が制定され、その中で地質調査業の定義や登録するための要件が定められ、その法的な基盤が明確になった。
また、この規程の制定にあたって、「この規程に定める地質調査業務の発注に当たっては、極力この規程による登録されている地質調査業者の活用を図ること。」との通達が建設省計画局長(当時)名で出されている。このため、登録規程そのものは、任意規程で、登録していない業者に対する営業禁止の条項はないが、建設省の調査よれば、公的機関の地質調査業務のうち、93%〜95%が登録業者に発注されており、実質的には法律に基づくものに近い運用結果となっている。
この「地質調査業者登録規程」に示されている地質調査業の定義の主旨をわかりやすく記述すると、次の通りである。

建設事業等に関し、地質構造、基礎地盤、土又は岩の工学的性質などについて、機械器具を用いた調査、計測を行い、その結果を解析、判定し、設計、施工、管理等のために資料の提供を行い、あわせて必要な所見を述べることの請負業又は受託業

この定義では、地質調査業務の範囲を、現場での調査・計測にとどまらず、解析・判定・助言までとしており、いわば、地質調査業は現場業務を有する専門建設コンサルタントと規定している。
この登録規程では、地質調査業の特徴を踏まえ、登録要件を次のように定めている。

登録要件 備考
1 地質調査の技術上の管理を司る専任の者で次のいずれかに該当する者をおくこと。 別表
1) 「土質及び基礎」又は「地質」又は総合技術監理部門(「建設一般」並びに「土質及び基礎」)の技術士を有する者 (1) 土木工学科(農業土木又は森林土木に関する学科を含む。この表において同じ。)
建築学,鉱山学,地学又は物理学に関する学科
2) 大学などにおいて別表第1項に揚げる学科を修めて卒業した後地質調査に関し15年以上実務経験を有する者
3) 建設大臣が認定した者
2 営業所毎に現場における地質又は土質の調査及び計測を管理する専任の者で次のいずれかに該当する者を置くこと (2) 土木工学,建築学,地質工学又は機械工学に関する学科
1) 高等学校において別表第2項に掲げる学科を修めて卒業した後10年以上もしくは大学などで別表第3項に掲げる学科を修めて卒業した後,8年以上地質又は土質の調査及び計測に関する実務の経験を有する者
2) 建設大臣が認定した者(具体的には,(社)全国地質調査業連合会が実施する「地質調査技士資格検定試験」に合格し,登録した者が認められている。)
3 地質調査業に関する契約を履行することに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。(具体的には,法人の場合資本金500万円以上でかつ自己資本が1.000万円以上となっている) (3) 土木工学,建築学,鉱山学,地学,物理学又は機械工学に関する学科

地質調査業の産業分類上の位置づけ

総務庁の日本建設産業分類にによれば地質調査業は次のように位置づけられる。

(大分類)
「学術研究、専門・技術サービス業」

(中分類)
「技術サービス業」

(小分類・細分類)
「土木建築サービス業」

地質調査業は、測量業、設計監理業、設計製図業、建設コンサルタント等とともに「土木建築サービス業」の例示業種として明示されている。
これらの業務は建設事業の流れの中で施工段階以前に実施されるもので、産業としては、いわば「川上産業」であり、その成果品が無媒体であるという共通点がある。その意味で、これらの産業がサービス業であることは否めない事実と言える。
また、これらの土木建築サービス業のうち、測量、地質調査、土木調査(狭義の建設コンサルタント)は、元々発注者が自ら行ってきた分野であり、主として昭和30年代頃より民間企業に委託されるようになったという共通の背景があり、国土交通省では、この3業種を「建設関連業」として、行政指導を行っている。

地質調査業の産業特性

(1)社会資本整備型受注産業

地質調査業務の約70%が社会資本整備のための仕事です。このため、エンドユーザーは国民であるという認識を持って業務に取り組むことが求められています。また、地質調査業は、分離発注を原則とする元請型受注産業です。

(2)地域地質密着型産業

日本の地形地質は地域的特性があり、かつ、複雑多様で、しかも数多くの自然災害の素因となるような脆弱な地質構造を持っています。このため、このことを熟知し、地域地質に密着した専門家が求められています。

(3)ハード・ソフト一体型産業

地質調査業務は現地での調査・計測を中心とするフィールドワークとその結果に対する解析、判定を中心とするデスクワークが一体となった産業形態です。このようなハード・ソフト一体型産業においては、両者の連携が欠かせません。

(4)情報サービス産業

地質調査業は、技術情報を商品とする知的サービス産業です。また、私たちが生み出す地盤情報は、国土の基盤的情報としての利用価値はますます高まってくると考えられます。その意味で、地盤情報の的確な把握はもとより地盤情報データベースの構築が望まれます。

(5)学問領域近接型産業

地質調査業務は、地質学、土質工学、地球科学など学術研究分野と密接不可分の関係にあり、地質調査技術の発展が学術的成果に結びつくことも少なくありません。また、地質調査に従事する多くの技術者は関係学会で研究発表を行うなどの活動をしています。

地質調査業に関する資格

地質調査業における調査技術に関する主な資格は次の通りです。

地質調査業に関する資格

地質調査業におけるSDGs

SDGsには17の目標がありますが、それらの目標のうち地質調査業が関わる
インフラ整備、防災・減災・国土強靭化、高度な専門技術、企業経営などを
通じ、地質調査業が関わることの可能な目標を整理したものです。
以下PDFを参照ください。
地質調査業におけるSDGs(全地連ビジョンより)

    

キッズ・学生・一般

地質調査業のPR動画

地質調査業で活躍する地質調査技術者のPR動画です。
地質調査の大切さや地質調査業務の内容を一般向けに
わかりやすく紹介した動画になります。

               

地質調査業の業務概要

全地連では、国土交通省などと連携して業界のPRに向けた活動を実施しております。
以下、国土交通省リンク