地質調査業の産業特性

(1)社会資本整備型受注産業

地質調査業務の約70%が社会資本整備のための仕事です。このため,エンドユーザーは国民であるという認識を持って業務に取り組むことが求められています。また,地質調査業は,分離発注を原則とする元請型受注産業です。

(2)地域地質密着型産業

日本の地形地質は地域的特性があり,かつ,複雑多様で,しかも数多くの自然災害の素因となるような脆弱な地質構造を持っています。このため,このことを熟知し,地域地質に密着した専門家が求められています。

(3)ハード・ソフト一体型産業

地質調査業務は現地での調査・計測を中心とするフィールドワークとその結果に対する解析,判定を中心とするデスクワークが一体となった産業形態です。このようなハード・ソフト一体型産業においては,両者の連携が欠かせません。

(4)情報サービス産業

地質調査業は,技術情報を商品とする知的サービス産業です。また,私たちが生み出す地盤情報は,国土の基盤的情報としての利用価値はますます高まってくると考えられます。その意味で,地盤情報の的確な把握はもとより地盤情報データベースの構築が望まれます。

(5)学問領域近接型産業

地質調査業務は,地質学,土質工学,地球科学など学術研究分野と密接不可分の関係にあり,地質調査技術の発展が学術的成果に結びつくことも少なくありません。また,地質調査に従事する多くの技術者は関係学会で研究発表を行うなどの活動をしています。